映像情報論最終講義「自分の感じていることやいろんな感じ方を認めること、感情を解放するセラピーとしての映画・映像」

23日の木曜日に「映像情報論」の最終講義を行いました。その中でこんな話をさせてもらいました。良かったら読んでもらえると嬉しいです。


『映像情報論最終講義の中でのスピーチ』


約4ヶ月間、15回の授業ありがとうございました。
僕は非常勤講師でこの授業しか持っていないので、ほとんどの人とはこれっきりかもしれない、何人かはなんらかのつながりが続くかもしれない。

もしかしたら直接お話ができるのは最後になる人もいるかもしれないので、大切なことをお伝えしたいと思っています。真剣に話すので真剣に聴いてもらえたら嬉しいです。


この授業では、
・自己対話:自分の感じていることを感じること
・感覚トレーニング:ものごとの感じ方を豊かにすること
・ものごとが生み出す感覚感情のパターンを集めること
・そのパターンを利用して、映像作品を通して、つながりたい感覚感情になることを導く事
をしてきました。



就職活動をしている3年生や、春から社会人として働くみなさんにむけて、
どんな授業をやれば、この先の人生で役に立ててもらえるか。そんなことも考えていました。

小中高大と学校に通ってきて、本当に今も残っている、自分の人生にいかせている学びってほとんどないですね。知識はすぐに忘れちゃうし、技術もやることを変えたら使わなくなってしまう。

中学の時の阿原成光先生の英語の授業、教科書を使わずにジョンレノンの音楽やキング牧師の演説、チャップリンの映画から学んだことが今も残っています。知識でも技術でもなくて、平和の精神を学んだ。今の僕の中にジョンのスピリットが生きている感じがするんです。それは確実に僕の人生を変えました。僕もそんな教育者でありたいし、そんな授業がしたいと思っていました。



この授業の裏にこめた思いとしては、
みんなが
「感覚感情を自分で認めたり解放したり生み出したりできることで、自分や周りの人を幸せにできる」
「自分にとっての幸せや喜びで満たされた人生や暮らしを自分で創造していける」
「ひとりでも多くの人が、自分の声をよりよく聴けるようになり、自分の気持ちに従って、自分らしく輝いた人生を生きていく。」
ようになったらということがありました。



自分の感じていることを感じることについて。

初回授業でも紹介しましたが、僕は、大学時代は、「植物インタフェース」研究が社会にも学会にも認められ、それが求められるようになったのです。
でも過去に評価されたことと今の自分がやりたいことのずれが出てきて、気持ちもエネルギーもあがらない日々。自分の道ではないとなんとなく感じていたけれど、常識や周りの声、目先の安心など見えている状況に囚われて、違う道を選び、進んでしまっていたんです。

この状態は、「本当の自分ではない」「自分にウソをつくか、自分を偽って生きている状態」強く言えば「死んでいる/殺されている状態」だと僕は感じていました。それくらい苦しかったんです。


でも、
・ごまかさずに逃げずに自分とひたすら向き合ったこと、
・過去の成功・失敗や未来の不安に囚われずに、今の自分が何を感じているのかを聴いてその声に従うこと
・常識や周りからの声に惑わされずに、自分の声をちゃんと聴き、その声を信じて動いたこと
・自分にとって大切なこと=中心となる軸を明確にして、それを判断軸として道を選び行動していくことで、

自分を押し殺して生きていた頃の息苦しさと閉塞感から解放されて、自分の喜び、本当にやりたいこと、本当の気持ち、天性を大切にして生きられるようになりました。そして、自分の気持ちと想いを大切にできるようになったことで、他の人の気持ちと想いも大切にできるようになっていきました。


感じ方や価値観が多様なように、生き方や道の選び方も何万通りあります。



本当の豊かさとは、幸せとは何か?

周りから観たら一見うまくいっていた過去の僕が苦しんでいたように、何がいいかなんてわからないものです。
僕は世間的にはいいと言われる大学にいましたが、そこの学生でも苦しそうな人、つまらなそうな人はいっぱいいました。同期でも働きながら辛そうな人、体調を崩して仕事を辞めた人もいっぱいいます。

豊かさや幸せって、職業でも、地位や名誉でも、給料の高さでも、有名になれるかでもないんですね。

周りがどうとか、世の中的にどうとかではなくて、それに自分が喜びを感じられる仕事であればいいと僕は思います。

答えは、社会も他人でもなく、自分のここ、中にあります。だから、その声を聴いて、それを信じて生きてほしい。



ものごとの感じ方を豊かにすることについて。

感情こそ人生 出来事はただの出来事 
自分や周囲の人の感じ方をチューニングできたら、人生を楽しめるようになる
そんな生き方につながるきっかけになれたらと思っていました。


感情を認めること
感情を解放すること
感情を調整すること
が大切です。


僕は2年ほど前に友人を自殺で亡くしました。
彼は、とても感性が豊かな人でした。
でも繊細すぎていろんなことを感じ取ってしまって、人と会うことだけでもものすごいエネルギーを必要としていました。
感じ方は鋭かったのですが、いろんな感じ方ができなかったんですね。
もし自分の感覚感情を調整することができたら、彼はまだ生きていたかもしれない。


昨年は父をガンで亡くしました。
ガンはストレス病と言われています。
父も、自分を後回しにして他人を優先していたり、寡黙な生活で自分の感情を表現したりする人ではありませんでした。加えて、福島県双葉町で被災して、大切な人を亡くしたココロの傷、震災後に母と親戚がもめたことの傷などを抱えていました。

僕が父をカウンセリングしたり、心理療法を施したりした中で、「元気になったら何がしたいか?」という質問に対して「孫の成人式を一緒に祝いたい」という言葉が出て来た後に一時的に気持ちがしっかりして生命力も高まりました。


少しでも希望を持ってもらおうと、過去にガンを克服した寺山心一翁さんのDVDを見せた時に、その中で出て来た「花」という曲が気になったから歌詞を印刷してほしいって父が言ったんですよ。「泣きなさい〜、笑いなさ〜い。」っていうやつですね。泣きたいし、笑いたかったんですかね。父が亡くなった6日後にある人のコンサートに行ったんですが、その人が普段は唄わないんだけどなんかメロディーが降りてきてと「花」を唄ってくれたんです。「父が聴きたかったのかな」「神様が聴かせてくれたのかな。」ともう号泣しながら聴きました。



感情を認めて解放してあげられたら、免疫/自然治癒力を高めてられたんじゃないか、と思っています。でも亡くなったけれど、最後に一緒にいっぱい泣いて笑えたことは幸せだったなぁと振り返っています。




映画ってセラピーだねって話を授業中にしましたが、
感情を認めること
感情を解放すること
感情を調整すること
感情を創造すること
映像表現を通してできる。

映像、映画はそんな強力なメディアだと僕は思っています。


感情を押し殺すのではなくて、感情を解放する、
自分や周りを「殺す」のではなくて、「生きる/活かす」ことにつなげていけたら本当に嬉しいです。


作品制作の過程でもお伝えしましたが、
まずは自分が感動できるものをつくること、感動できることをすること、が大切です。
そうすれば、周りも共感、感動してくれます。


みなさんやみなさんの周りの人がこれからの人生、いきいき生きて輝いて、感動的な人生を送っていけることを祈っていますね。



すぐには、実感わかないかもしれません。この先の人生で、いつか、ああこれは「あの授業で言っていたようなことだな」と感じてもらえて、お役に立ててもらえたら嬉しいです。



ありがとうございました!