映像情報論を振り返って

■多様な観点から映像を捉えること

10枚の写真を様々な方法で観てもらうというのはよかった。
学生によっては同じ写真なので飽きたとか疲れたという感想もあったが、あるひとつの写真も別の観点で捉えるといろんな感じ方ができるということを体験してもらえた。これによって、普段から映像を観る時に多様な観点でいろんなことを感じられるようになってもらえたら嬉しい。


■自分の感じていることを感じて外に出す習慣

映像に限らず、自分の感じていることを感じて、書き出してみるということが習慣化してもらえたら嬉しい。モーニングノートをやってもらって、自分が今そんなことが気になっているのか、そういうことで混乱しているのかとか気づいてくれた学生がいた。中にははまってくれて、その後も続けている学生がいるようだ。ちょうど、就職活動をする3年生が多い。本当の自分の感情の動きに鋭敏になったら、その時自分がどうしたいのかが具体的に見えて、行動やその結果も変わってくるだろうと思っている。


■展開を予測するために映像の観察が引き出される

動画の知覚実践で試した映画の展開予測はよかった。
単純に「予測してみよう」という指示があるだけで、なんとなく映画を観るよりも、かなり細かい観察や知覚が引き出されることが結果としてわかった。
脚本家として映像を観る。ちょっとしたシーンや動作があることで、それが後の出来事につながっていく。潜在意識にも訴えかける。
作り手としてはこういう細かい要素の影響関係を知ることはとても大事だと思っている。
これを継続的にやっているだけで、映画の捉え方は細かくなると思う。
ここだけを取り上げて、深くやるワークショップもあっていいと思った。
今後も続けていきたい。


■感覚感情の表現パターン集

感覚感情の表現パターン集は、完成度としては良いとはいえないけど、このように皆で集めたものを学生全体で共有できることは、財産になると思う。
この授業で出したアウトプットとしておみやげのように持ち帰ってもらえたらと思っている。
これはもっとちゃんと、そして継続してやったら、かなりいいと思っている。
来年度の授業ではもちろん、有志で集まってやりたいとも思っている。


■最終作品

ある種の感覚感情を受け手に与えるという意味で、ぐっとくる作品がいくつかあったのがよかった。
その一方で、やはりまだ感覚感情を絞りきれていないと、当たり障りのない表現になることもわかった。取り上げる感覚感情が具体的で絞られていて、それにあった表現ができていると、それだけでオリジナリティが出てくる。
とりあげるテーマが一般的でも、表現の素材が個人的なもの特殊なものを使えていると、すごく魅力的なものになっている。

いくつか気になった作品は別の記事で紹介したい。